助け合いおうちごっこ
子どもたちは「おうちごっこ」が大好き。最近のおうちごっこは設定も複雑でさまざま。大家族になっていったり、出入りも自由で緩く、性別や年齢関係なく、仲間関係もより広がっていきます。
いろんな家庭があって、子どもたちも自由にそれを受け入れているかんじが、大人も参加していて、とても心地よいです。その子自身や、子ども同士の関係を知っていくこと、関係を深めていくことにつながるし、発想や遊びの自由さを学んだりと、こんな遊びに参加できる時間が、スタッフとして、とても有意義でしあわせです。
お母さんやお父さんはもちろん、ジンベイザメ、ひよこ、さる、猫、チーター、ライオンなど、いろんな生き物たちがひとつの家族となったり、お父さんやお兄ちゃんは「ドロケイ」や「たたかい」が仕事という設定で、別の遊びと平行して、一段落すると家庭に戻って、子育てをしたりします。いろんなごっこあそびが連携しあって、警察や病院がすぐ近くにあって、うまく絡み合い、展開も楽しいです。
「おうちごっこ入れて~」「いいよ~」「何役空いてる?」「生きてるものならなんでも!」なんて声も聞こえてきます。生きてるものならなんでもいい、自由で、いい感性だな~。
もちろん、役決めでけんかすることもあります。「大きいお父さん」と「小さいお父さん」の取り合いで・・。「中くらいのお父さん」という妥協点もあるようです。
ある日のおうちごっこでは、スタッフがお母さんで、赤ちゃんが3人と、小さいお姉ちゃんが1人の家族でした。赤ちゃんはみんなでお母さんを取り合ったり、それぞれ要求が激しく、泣いてわめいて大騒ぎ!スタッフが、1人での子育ては大変と実感していると、少し離れたところでおうちごっこをしていた家族が遊びに来てくれました。
「こんにちは~」と挨拶をしたり「この近くに住んでるんですか?」なんて世間話をして、しばらくすると、近所のお母さん役のHちゃんが「赤ちゃんが生まれたと聞いたので、ケーキを作ってきましたよ~!」と持ってきてくれてびっくり!
赤ちゃんのお世話にかかりきりで忙しいことに気付き「保育園の送り迎え、わたしが行きましょうか?」と近所のお姉ちゃん役のRちゃん。
近所のお父さん役のYくんが遊びに来ると、赤ちゃん3人はぴったりくっついて甘えて、心を許しているみたい。
おかげでお母さんもやっと身動きが取れるようになり、家事ができたり、自分のことができたり。「本当に助かります~。ありがとうございます。」とつい心からみんなに感謝しちゃいました。
子育ては助け合ってみんなでするもの。子どもたちは、自分たちの家族や、たんけんたいの家族を見て、感じて、おとなたちが日々助け合ったり、それをも楽しみながら生活している姿を、表現しているのでしょうね。この遊びに見事に体現されているように感じました。
この「助け合いおうちごっこ」が楽しくて、帰りのベルが鳴っても「明日もこの続きやろうね~!」と口々に言い合い、子どもたちの表情が生き生きとしていました。
助け合う感覚って、教えられて培われるものじゃなくて、助け合える環境(認め合えたり、失敗し合えたり、許し合えたりできる環境)のなか、日々の体験のなかで自然に得ていく感覚だとおもうので、どこにいても、そんな人的環境をつくる一員になりたいです。
と、いろいろ感じた「おうちごっこ」でした。次はどんなおうちごっこに出会えるのかな。
ゆきほ
お地蔵さんが大量発生
先日の登山の日、一緒に歩いていた年少組のAくんが、いきなり荷物を置いてポーズをし始めた。少し考えるスタッフ。
「あっ、お地蔵さんかな!?」
分かった瞬間、その表現がかわいくて、うれしくて、なむなむと手を合わせてしまった。
そしてそれを見ていた子どもたちもお地蔵さんになっていき、気づけば山には、お地蔵さんが大量発生していた。あそこにも、ここにも。
スタッフが目を閉じて手を合わせてたら、実はお地蔵さんは人間だったので動いて、驚かされるというオチで、何度も楽しむ。登山のなかの、何気ないけど楽しいひとこま。
Aくん、楽しい発想をありがとう!
子どもたちとの楽しい日々を、あっという間に過ぎ去る大事なひとこまひとこまを、丁寧に表現したり、伝えていきたいな~。と、企んでいます。
ゆきほ
やさしさを返していく
いつものお散歩の道で、何人かの子たちとゆっくり最後尾を歩いていた。ちょっとした階段のところで座って、年少のTくんの持っている恐竜図鑑を見ている何人かの子たちと合流する。
図鑑を見終わり、あっという間に高いところに登っていく年少のHNくん。それを見て、最近HNくんと仲の良い2歳児のMくんも登りたがるが、難しくてなかなか登れない。
HNくん「ゆきほちゃん、Mが登れないんだって」Mくん「も~、なんで登れないの~!?」わたし「う~ん、どうやったら登れるかな~。まず枝預かっておくね。」がんばれMくん!
お散歩中、お気に入りの石や枝などを持っていることも多い子どもたち。その子が1日中持っているので、自然に覚えて誰のものか分かることがほとんどだけど(忘れても他の子が覚えている)混ざらないように分けて持っておく。
しばらくして、HNくんが手を差し出してどうにかMくんも登れたようだ。とってもうれしそう。HNくんも「Mが登れたんだよ!」ってうれしそうに教えてくれた。
続いて、少し移動して自分で登れそうな場所を探して登る年少のHJくん、KIくん、2歳児のKZくん、Aくん。
年少のTくんも枝と図鑑を持ちながら登ろうとしているが「登れないよ~」と困っている。「T、枝と図鑑持っておくよ」と言うと「あっ、ありがとう!」とまた一生懸命登ろうとする。
みかねたHJくんとMくんが、枝を差し出して助ける。さっき助けてもらったMくんも、今度は助けてあげる番になったみたい。あれ、さっき登っていたAくんも、降りてTくんを押してくれている。そうして、Tくんも無事に登れた。
登れてうれしそうな表情で「ゆきほちゃん図鑑かして~」とTくん。「いいよ~、そこで見るんだね。おもしろいね。」とわたし。いろんなところでみんなで見る図鑑は楽しいね。登ったみんなでわいわいしながら見ていた。
あ、2歳児のAくんがひとりで歩いていっちゃった。歩くスピードも早くてあっという間に見えなくなった。「みんな~、Aがひとりで行っちゃった!ゆきほちゃん、Aがイノシシに食べられると困るから追いかけてくるよ!」と追いかけると「おれも!」「ぼくも!」とみんな急いで降りて、走って追いかける。
「どこだどこだ?」「あれもしかして食べられちゃった?」と言いながら進むとAくんを見つけた。「Aいたよ!」「よかった~、食べられてなかったね」とひと安心。
そしてちょっとひと遊び、ひと休みしていると・・。
あらあら、今度はMくんがスタスタ進んで見えなくなった。今度は追いかけるんじゃなくて、追いかけられたくなったのかなあ。「Mがイノシシに食べられちゃう!追いかけよう!」とみんな。
枝をシートベルトのようにして入るイスがお気に入りのTくんは「あれ抜けなくなっちゃった!」と頑張って抜け出そうとするけど、抜けない。「大丈夫?」「引っ張るよ!」とHNくんとHJくん。
無事に抜け出すと、HNくんの「みんなで競争しながら見つけようよ!よーいドン!」という声でみんなで走っていく。
Mくんは草や木の陰に静かに隠れていたみたいだ。「M見つけた~!」見つけられたMくんは満足そうな表情。追いかけるのもいいけど、追いかけられるのも楽しいんだよね。
そんなことをしていると、あっという間にみんなのいる広場に到着した。「あれ?今日着くの早いね」「もう着いちゃったね~」と、すぐにみんなの遊びに混ざっていった。
2歳児のKくん、Mくん、Aくんでお店やさんごっこは定番。しばらくすると、お店やさんごっこから、枝に葉っぱを刺していくのに夢中になったMくん。
お弁当の時間になったけど、まだまだやりたいとのこと。「終わるまでやっておいで~、終わったら一緒にお弁当食べよっか」と声をかける。
大きい子たちと崖滑りをしている2歳児のYくんにも声をかけるが、まだ遊びたそうなので「大きい子たちと一緒に帰ってきたらお弁当食べよう」と声をかけた。2歳児のKくんとAくんでお弁当を食べ始める。
たくさん滑ってきてやりきった表情のYくんと、枝に葉っぱを全部刺して、満足そうな表情のMくんが戻ってきた。
「おかえり~!楽しかったね!みんなで食べよう~」と4人で食べ始める。
Mくんの枝に刺した葉っぱ、途中まで数えたら、80~100枚はある。すごい集中力だね。
さてさて、お弁当のあともたくさん遊んで、ベルが鳴り出発の時間。
みんながあっという間に進んだあと、2歳児のAくんが「もう歩けない~!」「抱っこして~!」と座り込んだ。
Aくんと相談したり、励ましたり、リュックの中身を軽くしたり、遊びにもっていこうとするが、Aくんの気持ちは変わらない。
そうしたら、そのやり取りを見ていた年少のHJくんが「歩ける魔法」をかけてくれた!
その魔法は、言葉にするのが難しい呪文で、大きな声で唱えるのだ・・。わたしもびっくり、つい魔法にかかってしまい「あれ!歩けるぞ!」とスタスタ歩き出すわたし。
Aくんは「歩けな~い」と座ったままだ。HJくんと「Aには魔法が効かないみたいだねえ、ふしぎだねえ。」と一緒に首をかしげる。
ちょっとだけAくんが動くのを見て「あっ、ちょっと歩けた」というと、それが面白かったのか、自分でもちょっと動いては「あっ、ちょっと歩けた!」と笑うAくん。何回か繰り返す。う~ん、ちょっと心がほぐれてきたかな?
すると、HJくんが、奥から太くて長~~~い枝を持ってきて「これで行こう!」とAくんに声をかける。Aくんも「うわぁ~!」とうれしそうに枝に掴まり、電車に変身。2歳児のMくんも一緒に枝に掴まり歩き始める。
途中、Aくんが一人で走って遠くまで行く。すっかり元気になったようだ。「つぎは~、A駅~、A駅~」とHJくん。Aくんのいるところに停まり、またAくんを乗せて進んでいく。
Mくんは大事な枝を持ちながら歩くが、持ちにくかったようで「この枝持てない~」と少しぐずると、すかさずHJくんが「HJが持ってあげるよ!」と枝を預かる。自分の枝も持っているので、手にはもういっぱいだけど、HJくんの持ってあげたい気持ちが伝わってくる。
いつもHJくんは、年少さんのなかでも大きい子たちや、年中、年長さんにやさしくしてもらうことが多い。困っているときに助けてもらったり、荷物を持ってもらったり、話を聞いてもらったり、励ましてもらったり、なぐさめてもらったり・・。
でも、この日は自分がお兄さんの立場になってAくんに手を差し伸べてくれたのだ。Aくんの気持ちに寄り添って、でもいきすぎない距離で、楽しく、心がほぐれるように。
いろんなひと(お母さんだけではない大人や、仲間たち)にやさしくしてもらうと、今度は自分がやさしさを他のひとに返していくようになる。それはとても自然に、感覚的に、やさしさを渡していくようになる。
「やさしさ」を強要されるのはしんどい。自分の気持ちが納得してなくても、まず相手の気持ちを大切にしなきゃならない。自分の気持ちはなかったことにするか、表面上でやさしくして、裏(大人の見ていない場所)で発散しなきゃならない。
自分の気持ちを大切にされたうえで、自分から湧き出てくる気持ちとして、相手の気持ちも大切にしていけるような、そんな感覚を、森のこどもたちはすでに持ち合わせているんだよな~。HJくんを見ていて、あらためてそんな風に感じた。
森でも室内でもどこででも
1月17日(水)、久しぶりの雨の日は園舎で過ごした。
それぞれのクラスで朝の会。来月の生活発表会に向けて、劇の話し合いや簡単な練習が始まっている。ひとつひとつを話し合ったり、子どもたちに相談しながら決めたり、普段の遊びを取り入れながら楽しく進めているようだ。子どもたちの嬉しそうな笑い声や歌声が聞こえてきて、こちらまで楽しくなってくる。
テラスでは自由参加で絵の具遊び。大きな紙にみんなで描くことにした。年中の男の子Yが「おれ、絵の具やろ~っと!」と意気揚々とテラスに出ると、他の年中の女の子たちも「わたしもやろっかな~!」とテラスに出る。Yくんは迷いなく手のひらに絵の具をぺたぺた塗りだす。「え~手に塗るの~!わたしはやんな~い」と筆で描く。でもYくんがあまりに楽しそうに手形をぺたぺた押しているからか、すぐに「でも楽しそう。わたしもやるー!」とMちゃん。「あたしも!」「うちも!」とYにつられてみんなで絵の具だらけになっていく。
「絵の具楽しいね~♪」「やってよかった~!」「ねえ、もっとやろう!」年中の男の子も女の子も、手や筆を大きく使って紙いっぱいに描いて、はしゃいで楽しそうだ。しばらくやって満足した表情の子たちが「よし、終わり!あ~楽しかった~」と戻っていく。
残った絵の具チームは、今度はゆっくり考えながら絵を描く時間になっていく。年少のHくん、筆をゆっくり動かして、真剣に何を描いているのかな。
年少のYちゃんは、いろんな色をきれいに手のひらに乗せてスタンプをするのが楽しいみたい。どれを乗せようかじっくり考えている。
色の混ざりがきれいだね。Yちゃんみたいにやりたくて、他の子も真似して一緒にやっていた。
常に絵が変わっていくから、見ているととっても楽しい。
年中の女の子2人は、こちらの紙で丁寧に描いている。細かい絵も楽しいよね。
他の色がほしい、色を混ぜたいと子どもたち。新しい色を作ってみようも混ぜながら、いろんな色ができていく。
最後、駆け込みで来たJくん。絵の具、気になってたみたいで「Jくんもやりたい!」と最後に言ってくれた。楽しかったみたいだけど、きっともっとやりたかったよね。またたっぷりやろうね。
室内では、工作、おうちごっこ、劇ごっこ、ボードゲーム、絵本、ピタゴラスイッチ(ビー玉転がし)など、それぞれ好きな遊びを楽しんでいた。
お弁当を食べたあとは、今日はなんとデザートつき!秋に拾ったたくさんの椎の実が、まだ実は残っていたのだ。炒って食べることにした。
年長のMちゃんやAちゃん、Yくんが炒るのを手伝ってくれた。ポップコーンみたいにいくつかポーン!と弾けて、みんなで大笑いした。
おいしい椎の実おやつが完成した。急いで群がり、無言でカリカリ皮を剥いて、ひたすら食べる子どもたちはリスのよう。
第2弾も完成。「熱い!熱い!」と笑いながら皮を剥く。「おいしいね~」と言いながらホクホク食べる。
雨の日も楽しいことがいっぱいだ。子どもたちはいつでも、どこでも、森でも、室内でも、自分でやってみたい!を見つける、探しだす。自分で考えて、選び、自分の気持ちに添ったり、相手の気持ちに添っていく。毎日、森でも、室内でも、どこでだって、自分たちで成長していこうとする力がたくましいな。
ゆきほ
巨大な氷を発見
1月15日(月)、霜や霜柱、少しだけ積もった雪や氷を見つけながら、柳の畑に向かってお散歩した。
柳の畑に向かう道は、日当たりがよくてお日さまがポカポカ気持ちいい。寄り道しながら、ゆっくりと歩いていたくなる。
フジノタネを見つけて「これは炒ったらおいしいらしいよ~」の声に一生懸命探している。
フユイチゴやムカゴももうないので、食べられるものがあって嬉しいね。何十個もフジノタネが入ったポケットを自慢気に見せてくれた。
いつもの川に到着。川に石を投げて遊ぶこと一つでも、ここに当たったら勝ちと自分でルールを決めて投げたり、ひたすら大きい石を探してきて投げたり、水切りのように投げたり、友だちと一緒に投げたり、いろんな遊び方をしている。
「ドロケイしたい人この指止まれ~」散歩道でドロケイが始まった。ドロケイの役決めは、じゃんけんではなく、立候補したり話し合ったりして決めているから、いつも感心して見ている。やってみて、また人数を増やしたり減らしたり、みんなが納得して、楽しく遊べるやり方に自然になっていくのがすごいね。
後ろを歩いている子どもたち、なかなか来ないな~、何してるのかな。と思っていたら、遠くから何人もの嬉しそうな大きな声が聞こえる。
巨大で厚さもある氷を森の入り口で発見して、その氷をず~~っと取ろうと頑張っていたみたい。それは冷たすぎて、重すぎて、スタッフが運んできたみたいだった。
これでなかなか来なかったのか~!それは取りたくなっちゃうよね。取ってきた子たちはとっても満足そう。他のみんなもびっくり!触ったり乗ったり、よく観察していた。
小さいやつは子どもたちが持ってきたようだ。(これでも大きい)
この巨大な氷を、見つけた年中のAくんが、家に持って帰りたいとのことで、運んできたようだ。一生懸命運ぶスタッフ・・。
また、ムクロジがたくさん落ちているのも見つけたようで、嬉しそうに見せてくれた。みんな興味津々。年長の男の子が見つけたようだ。みんなの目はいろんなものを見つけられるね~!わたしもまだまだだな~。
柳の畑に着く頃には、もうお弁当の時間だった。たくさん寄り道したもんね。お弁当の後は、ドロケイや崖登り、木登りなどをして遊んでいた。最近、険しい森のなかをどんどん歩いて、道を作って探検する遊びを、年中・年長を中心に楽しんでいる。
この日はそれにドロケイが組み込まれ、険しい森の中でのドロケイが、なかなかハードで面白い。スタッフ1人が警察、10人くらいの子どもたちが泥棒ということで、子どもたちには連帯感が生まれている。さすがに降参してしまった。
帰り道、スタッフが巨大な氷を、重そうにしながらなんとか最後まで運んでくれた。長い道のりお疲れさまでした。
この日、氷を見つけたAくんは、お友だちのHちゃんのお母さんと一緒に帰る日だった。Hちゃんのお母さんがクーラーボックスに氷を入れて持って帰ってくれた。Aくん、よかったね~。
ゆきほ
ひたすら寄り道の日
いつものように森でのお散歩が始まって、その日は、最後を歩く子と一緒にゆっくり歩いた。
歩き始めてすぐの場所の奥まったところにある、ナツハゼの木に走っていく子どもたち。年長を中心にナツハゼを取れるだけ取っていた。(年長くらいだと自分で届くからいいんだよね)
たくさん取ったと満足気に見せてくれては、前の方にいるスタッフや子どもたちの方に走っていく子、手が届かない小さい子たちに分けてあげている子。その子も前の方にいる子たちの方に歩いていった。
そのあと、何人かの年少も2歳も、自分でとりたい!と、しばらくの時間ナツハゼの木に向かって、頑張って実をとろうとしている。「取って!」と言いに来るわけでもなく、自分たちでずっととっている。それを遠くで眺めていた。夢中で、みんな楽しそうだなあ。どんなタイミングで戻ってくるのかな。
前の方にいるスタッフと子どもたちのことを考えると、待っていてくれているよな~と気になる。でも、急かしたくない大事な時間だよなと思い、そのまま見守っていた。
なんだかんだみんなで戻ってきた子どもたち。(おかえり!満足したかな?)ナツハゼを一緒にとって楽しんできた仲間たちは、なんだか団結しているようなかんじ。いまにも遊びたい状態!芝生の坂をかけ降りる。坂の下にリュックをすぐに降ろしては遊ぶ気満々だ。何人かでつながって大笑いでおしり滑りをしたり、まだ咲いていたブタナを摘んで花束を作ったり、階段を登り降りしたり、バッタ捕りが始まる。ごっこ遊びの配役決めもしている。
私もリュックを降ろそうっと。(きょうの寄り道は長くなりそうだぞ~)
遊んで満足した子は、何人かは先に進んだけど「まだまだここで遊びた~い!」と満面の笑みの子どもたち、残った子は7人くらいかな。
先を歩いているスタッフたちに「いま小さい子たちが寄り道が楽しいのでゆっくり行きたくて、大きい子たちと先に行っていてくださ~い!」と伝えに走る。これで安心して寄り道ができそうだ。もう一人のスタッフと遊びを見守る。
しばらく様子を見て、そろそろ進もうかな(ごはんの時間を考えると)と思う。あんまり出発できるのを期待せず、いつもスタッフや子どもが、お弁当の時間や集まる時間に鳴らしているベルを鳴らしてみる。チリンチリンチリーン♪「そろそろみんなのところ行ってみようかな~」とさりげなく言う私。それからリュックを背負ったり、降ろしたり(お水を飲んだり)友だちを迎えに行ったり、行きつ戻りつ、ゆっくり進んでいく。なんだかんだでみんな出発する。
さて、それからも寄り道はつづく、つづく。死んだミミズを捕まえた!と盛り上がって虫かごに入れて観察したり、バッタ大好きな男の子がバッタを捕まえて、大事にしながら柱を登らせたりして遊んだり。
この日の目的地の広場は、ちょっと遠いところなんだよな。頑張ろう!
長い枝を持っている子がいたので、電車ごっこをしてみる。それが楽しかったみたいで、連結したり、追いかけたりしてキャーキャー言いながら結構盛り上がる。それでしばらくいっしょに走っていたら、久しぶりにみんな(大きい子たち)と会った。みんなもまだまだ寄り道中だったらしい。栗をとるのに夢中だった。崖のところも降りていき、どの子も栗を取っては剥いている。後ろの寄り道組と前の寄り道組がつながって、またまた寄り道が楽しいね。
寄り道はこんなもんじゃない。まだまだ続く。この日の目的地には他の団体さんがいたので、目的地を変えた。でもそれは疲れること、大変なこと、というよりも、また寄り道ができるというかんじで、ゆっくりなお散歩を満喫している。
写真は、家から持ってきた図鑑をみんなで見ている図。じっくり時間をかけて見ている。すごい盛り上がりだな。隙を見て「そろそろお腹空いて来ちゃったな~」とつぶやく私。それを聞いて左の女の子も「お腹すいたから、早く行こうよ~」と言っている。
ようやく目的地に着いたらもうごはんの時間だった。よ~く歩いたから、お弁当をいつも残す2歳の男の子も全部食べていた。おどろく私と、自分のことのように大喜びして拍手する3歳の女の子。にやっと照れる男の子。
帰りは帰りで、寄り道して帰った。2歳の4人で、早めに出発してゆっくり歩くことにした。特に小さい子の場合、ぎりぎりまで遊んで急いで帰るより、早めに出発して、時間と気持ちに余裕を持って遊びながら歩く方がいいな。大きい子にとっては、遊び具合、盛り上がり方によって、前者の方がいいことが増えていくけど。帰り道に何に出会えるか、何が楽しいかはわからないからね。いつも発見だね。
帰りは、14時にお母さんのところに帰らなければならない。でもそれはこちらのこと。「もうおしまい」「だめ」「早く」と子どもたちに押し付けて強制するのとは違う。遊具でも遊んだり、どんぐりを拾ったりしながら、そっと時計を見て確認する。そろそろかな!と思うと遊びながら帰る作戦に出る。どうせだったら、楽しく、笑いながら、遊びながら帰りたい!(無事いつもの時間に着きました)
目的地に行くのもお散歩だけど、そればっかりになってしまったら楽しくなくなってしまう。目的地に行くまでがお散歩なんだよね。大人は、時間と気持ちに余裕を持って、心ゆくまで付き合いたい。それでも中断したり、進まなきゃいけないときはあるんだけど、急かさず、焦らず、自然に、楽しみながら進めるように、ちょっとしたきっかけや遊び心を大事に、柔軟にいきたいな!と強く感じた日でした。
子どもが心から満足できるまで待つことは、簡単にはできないかもしれない。(時間の余裕も気持ちの余裕もどちらも必要だもんね)寄り道だけじゃなく、とことん待って、見守ってもらう経験をたくさんした子どもたちは、自分のことも人のことも、あたたかく待てる人、見守ることができる人になっていくよなあと思う。結果だけじゃなく成長する過程や、人(他人も自分も)の背景や感じ方や考え方を尊重できると思う。
いま、毎日森で過ごしていて、子どもたちがそれを体現しているなと感じる。子どもたちの待つ姿勢、受け入れる姿勢に感心する日々。子どもたちを見習っていこう!
ゆきほ